ウラコイ2 銀幕の旦那様
海江田監督は そろそろ戻るよと言い帰っていった
あたしはスタジオを覗きに行った
「翔太君…」
スタジオの隅に座ってる彼を見つけた
「…。」
もう見終わっただろうか。
彼に近づくと
まだ画面には彼がいる
翔太君とそっくりな顔をした彼が…
「久しぶりに動いてる親父観たよ…本当に…俺は似てるな……、考え方も…笑い方も」
振り向いたら
泣きそうな笑顔だった
振り返ったらいけないよ
がむしゃらに前だけみるしかない
生きていくためには…
「…親父は気にしてたんだな。自分が俳優だからって息子や母さんにまで何か言われること…だから真剣に仕事してたんだな。誰に何をいわれても俺達が…傷つかないように…」
「うん…」
画面はふっと止まり黒くなった
「ちゃんと俺達の事考えてくれてたんだな。…ずっと分からなかった。“俳優”の神田怜一しか観たことなかったから」
俳優 の神田怜一…
ぱっとパソコンにあかりがついた
「…病院?なんで…」
翔太君がつぶやいた
どうやら彼が見てたのとは別に撮られた動画…
ベッドで笑う怜一さん
『最後に、翔太、……弥生に伝えて欲しい。“約束”守れなくて悪かった…。俺の分までかわりに生きて欲しい…じゃあな翔太。…頑張れ、ちゃんとみてるから』