ウラコイ2 銀幕の旦那様
「にしても、みちるさんが『藤堂先生』好きとは、」
「はは、小説呼んでね。はまったみたいで、……確かに難しい人だけど、すごい優しい人だなぁて思うよ」
優しい人。
「……確かに優しい人だよ。典型的な優し過ぎて損する人間。」
「わかるんだ、やっぱり役者さんだね」
翔太君はそうかなと言った
「そういえば、さ。みちるさんて一人っ子だよな。妹とかもいないの?」
「え……うん、いない……はずだけど、分からない。美麗さんは結婚したらしいから、もしかしたら…」
妹…か
美麗さんとは離れて
何年もたったから
何も分からない。
「いや、瑠璃子役の女の子…一条さん。どことなく似てるなぁて思ってさ」
「そうかな。聞いてみようかな…」
「いい、いい勘違いかもしれないし。みちるさんは一人しかいないからさ…」
「ありがと」
一人しかいない。
彼はわたしが嬉しいと
わかる言葉を知ってる
「……いい子ですね。よしよし」
「『藤堂先生』モードはやめて…照れるから、」
はははと 翔太君は笑った