ウラコイ2 銀幕の旦那様
「あ、あれでわかるんですか。わたし靴のサイズもなにも…というかここは靴屋?」



中村さんはなにも
聞かないで二階に行った


市村さんは店の
中にある座敷に座った



当たり前にお茶が出てくる
当たり前に彼はそれを飲む


まるで和風の喫茶店だ



「靴屋だよ、商品は展示しない。店がその人にあった靴を出す、曾祖父さんが昔から通っていた店だ。間違いはないよ、…」



それ以上はなにも言わなかった



カチャカチャと音がしてみたら
番頭さんがそろばんをはじいている



彼の後ろには高い木の棚
二階にあがる階段…。



すべて木で出来てる


お店の中は静かで流行りの
店みたいにうるさくない



不思議と落ち着く…



「……」



「…ガキの時はなんて横暴な店だと思ったよ。客の注文も聞かずに勝手に靴を持ってきて…親父は俺が他の靴が欲しいて言うのに聞かずにそれを買って帰って…」



独り言みたいに
市村さんは話し出した




「俺は駄々こねて履かないでいた。…したら決まって親父は俺の草履をどこかに隠すんだ、“それを履け”って…」




「坊ちゃんお話中失礼いたします…ありましたよ。」



中村さんが箱を抱えて戻ってきた



「ありがとう…」
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