ウラコイ2 銀幕の旦那様




「…手間どってすいません…」



中村さんは箱から靴を出す





「…え。」



「ぱんぷす、言うんですかね?若い子によくお出ししてるんです…」




形はパンプスに似ていた
けど少し高さがある…



黒に近い茶で四つ葉の模様が所々にある


「お履きになってくださいませ…」


あたしはヒールのある
靴を脱いで黒いパンプスに足を入れる




ひんやりしている…
サイズもちょうどだ




「…なんで」



「あんたさんは役者さんでしょう。すべて綺麗にしてはりますけど足だけが悪い…、これ履いてたら自然に足は綺麗になります…。肌が白いから暗い色の方を選ばせて頂きました。」



「たしかに…相変わらずうまいな、中村さん」




「おだてるんはやめてください。商売ですから…」





あたしはたって歩く
たしかに高さが少しあるからいい




「ぱんぷすは足が疲れる云いますけど、それは疲れんように細工してます。」



「細工てなんですか?」




中村さんは笑った


「秘密です。時間をかけて可愛いがってあげてください…」




可愛いがる。




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