ウラコイ2 銀幕の旦那様
一つ一つ彼女の持っている袋にいれる
よくみると歌舞伎の土産物だ…
この子は土産物屋の娘さんか…
全部ひろい終わると彼女はいった
「すみません、わざわざ拾ってくださって。助かりました」
「いいえ…。それは歌舞伎の…」
「はい…土産物です。家が歌舞伎の土産物の店を営んでいるので、あ!あなたは…確か市村さんの息子さんの」
彼女は ぱっと笑った
花がさいたみたいな笑顔で
頷くと益々
彼女は顔をほころばせた
「良かったぁ。本当にすいません、勘太郎さん…、でしたよね。本当に助かりました…では」
私は彼女を呼び止めた
「あの…」
「あ、申し遅れました。吉野瞳といいます、今日はありがとうございました。そうだ…」
彼女は近くにあった
自転車から何かとってきた
袋に入っている
押し付けるように私に渡した
「お礼です。大判焼き、疲れてる時は甘い物を食べて元気になって下さい。市村さん…またお店に寄ってくれたら嬉しいです」
彼女はそう言って商店街を
自転車で走っていった
私は それ以来
彼女の店に度々足を運んだ
彼女とも仲良くなっていった