ウラコイ2 銀幕の旦那様





一つ一つ彼女の持っている袋にいれる





よくみると歌舞伎の土産物だ…
この子は土産物屋の娘さんか…



全部ひろい終わると彼女はいった


「すみません、わざわざ拾ってくださって。助かりました」


「いいえ…。それは歌舞伎の…」


「はい…土産物です。家が歌舞伎の土産物の店を営んでいるので、あ!あなたは…確か市村さんの息子さんの」



彼女は ぱっと笑った
花がさいたみたいな笑顔で



頷くと益々
彼女は顔をほころばせた



「良かったぁ。本当にすいません、勘太郎さん…、でしたよね。本当に助かりました…では」



私は彼女を呼び止めた


「あの…」




「あ、申し遅れました。吉野瞳といいます、今日はありがとうございました。そうだ…」



彼女は近くにあった
自転車から何かとってきた



袋に入っている
押し付けるように私に渡した


「お礼です。大判焼き、疲れてる時は甘い物を食べて元気になって下さい。市村さん…またお店に寄ってくれたら嬉しいです」






彼女はそう言って商店街を
自転車で走っていった












私は それ以来
彼女の店に度々足を運んだ



彼女とも仲良くなっていった

< 304 / 600 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop