ウラコイ2 銀幕の旦那様



「なんで…知って…母さん?」




瞳は舞子さんを見た

舞子さんはばつがわるそうな顔をしていた



「アメリカ帰りなんだろ、きっと治るさ。治ったら二人で歌舞伎観に来たらいい……チケット送るから、」



「修介くん。わたしは…」



生き延びて欲しい

それが両親の願い、
自分の願い…



自分では叶えられない願いなら人に託すしかない




「……長生きしろよ」



「…違うの!修介くん、話を聞いて…っ、」





瞳が入り口まで追いかけてきた



「疲れるんだよ、お前といると。さっさと結婚でもなんでもしろよ!」






店を出た。
瞳の泣く声がする





あぁ…終わったな









瞬間 意識が遠のいた


気が付いたら丸3日寝ていた



過労らしい…、父は随分深刻な顔をしていた


しばらく…稽古を休めと言われた。




反論する気すら起きなかった

頭が真っ白で…
なにも考えられなかった

いや考えたくなかった…





もう何をどうしたらいいかわからなかった




ただ 目を閉じたらいつものように笑う瞳がいた








稽古を休んでる間は特に何もせず本ばかり読んだ



歌舞伎をしない自分は
まるで死人みたいだと感じた


アレがあるから生きていられた…


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