ウラコイ2 銀幕の旦那様
〈市村目線〉
おれの出番はまだ先
親父と話すことになった。
喫煙所は誰もいない…
「…煙草きれてた。おい勘太郎、煙草」
親父はほいと手を出した
煙草とライターを親父にわたす
「毎日吸ってるんじゃねえだろうな?喉痛めるぞ」
「吸ってねぇよ。たまにだよ…気晴らしに…」
ふうんと親父は 煙草をふかした
「…お前好きな子ができたのか?」
「出来てない。いないよ」
「ふん…親をなめんじゃねぇぞ。こないだ下駄買いに言ったら聞いたぞ。お前が可愛い女の子連れてきたってなぁ…誰だよ?」
にやりと親父は問い詰める
問い詰められるとは思っていた
「…『くじら』で共演してる女優だよ。バカみたいにだっさい靴履いてたから買って貸したんだよ…。」
「へぇ…。…そうだ。こないだ会ったんだよ。…舞子さんに、」
舞子さん…母方の母
つまりおれのおばあさん
「もういいっていってたんだ、“もうあなたは十分苦しんだからもう苦しむことはない”…て言われた。“確かに瞳は早くに亡くなってしまった。でもあきちゃんを残してくれたから、あなたがいてくれて瞳は幸せだったって”」