ウラコイ2 銀幕の旦那様






「お前は本当に欲しいと思った物を手に入れたことは無いだろう?昌良…大抵お前は器用で何でも出来たからな、欲しい物の為なら必死こいて走るなんて馬鹿みたいだと思うだろ…」



「……」



確かにない…
おれは大抵何でも手に入った



ただ一つ欲しいものは 手に入れられないまま…

今まで 生きてきた



別にいいと思った
もう一生手に入らないんだから



「わたしが憎たらしいだろ。昌良…」


「…何でだよ。」



親父はどこか勝ち誇ったように言う




「…お前が欲しいものをわたしが先に持ってるからだ。わたしはそれをずっと分かっていた、けど……お前に言わなかったのはきっとわたしの意地より他ならない。」




「…」


欲しいもの。

それは、もう手には入らない


普通だったら当たり前に貰えるもの




「お前は母親の愛情が欲しかったんだろう…」



「…。」





そんなの虚しさしか残らないだけじゃない…?



分かってる、そんなこと



だけどそうなると分かっていても
手を伸ばさずにはいられない


もしかしたら…


もしかしたら




そうだ




欲しかったものは愛

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