ウラコイ2 銀幕の旦那様
本物じゃなくていい…


なぜ?







本物なんて手に入れられないとおれはもう分かってるからだ。




母親がいなくなっておれは寂しかった…


でもその気持ちは隠していた




寂しいなんて言ったら



父がどうしようもなく悲しい顔をして笑うから。




だから言わなかった



親父の為…?





おれは


そんな


真面目な人間じゃない








自分のためだ




なぐさめられる自分なんか見られたくなかった




おれの中にいる


もう一人の自分が冷めた目をして
間抜けな自分をみている



情けない、何をしてるんだと笑う




素直になりたいと思う反面で冷静に判断するもう一人の自分




素直になんかならなくていい
結局はどうにもなりはしない。



自分だけが空回って冷たい目で周りから見られるだけ…




そんな思いを味わうくらいなら
ハナから何もしないほうがいい











どうでもいい…て思ってるんじゃないですか?






あの子は…鋭い

あの子の目がおれは嫌いだ











おれを見透かす何も知らないような目



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