ウラコイ2 銀幕の旦那様
幸せで何不自由なく生きてきた



あの子の信じてるであろう
正しさという名の

価値観を持った目で見られるのが



痛くてたまらない。


わからないくせに…


だから傷つけたかったのかもしれない



なにも知らない無知な彼女を。



「…お前が母親の愛情を求めてるのは薄々分かっていたが、わたしはお前に何もしなかった。舞子さんもいた…わたしの両親にも大事にされてたから…。それで十分だと思ってしまった、」



「…随分立派に見られてたんだな、おれは。」




小さい頃の自分を褒めてやりたい




寂しかった



けど


言えるわけないじゃないか
ただ言ってもつらいだけの事なんて…


「…そうだ…あきちゃんて呼ばれたらお前嫌がってたな。その名前で呼ぶんじゃねぇよって…昌良だって」



「あぁ、」


仕方なくおれは相づちをうった






「理由を教えてやろうか…瞳がお前の事を生まれる前からずっとそう呼んでいたからだよ。」



「は…」




「お前が瞳のお腹にいるとき、何回も流産しかけたんだ。体が弱かったからな…けど、いつも奇跡的に助かっていた。それを経験してからか瞳はお前をあきちゃん、あきちゃん言い始めてお腹をさすっていた。まだ男か女もわからないのに…呼ぶんだよ」


< 335 / 600 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop