ウラコイ2 銀幕の旦那様
「槌谷さん。」
撮影がはいるまえ翔太君が声を掛けてきた
「お疲れ様です。神田君」
「お疲れです、いまちょっといいですか」
本当にちょっとしか時間がなかったから
スタジオの裏の目立たないとこにいった
「どうしたの」
翔太君は 視線をさまよわせながら言う
珍しいと思った
自信のなさそうな感じだった
「……あのさ一条さんから聞いたと思うけど。美麗さんのことでさ…」
「あぁうん。さっき…めぐみさんが言ってたから大丈夫だよ。わたし」
翔太君はそうかと言った
「…ちゃんと聞かなきゃね。怒ることも許すこともできないしさ。」
「…うん」
「本当に大丈夫だよ、そりゃ昔は腹が立ったけど…だいぶ年を取ったしいろんなこと許せるようになったから…」
「ならいいんだけど…。あのさ美麗さんに会う時おれも行っていいかな?ほら結婚のこととか…さ」
翔太君は すこしほっとした顔をしてた
「あ、うん…そうだね。」
「よかった…、なにかあった時に俺がいたらすこしは違うと思うだろうし」
ふたりで。
この人は わたしの事情も
何もかも受け止めようとしてる
優しいひと。