ウラコイ2 銀幕の旦那様
「…」
「…結婚するのだろう。君達は、」
「は、はい…」
「いまは悩みどころだと思うけどあんまり難しく考えるこたぁない。案外あっさりいくもんだからさ…」
タバコを窓の外に向かってふかしながら言う
「…てな具合で、神田君にも言ったんだよ。なんか深刻な顔してたから。まぁ、ジジイの戯言だが…」
「ありがとうございます…」
「…まいったな、礼を言うつもりだったのに礼させてしまった…。私こそ改めてありがとう。あんな馬鹿息子を叱ってやってくれて…、仲良くしてやってください。これも何かの“縁”てやつだろうから…」
「…はい」
つい笑ってしまった
二人して笑っていた
勘十郎さんはお礼代わりの
あんみつを注文するために店員を呼んだ
賭ける…
わたしをあなたに賭ける。
リンと鳴った風鈴の音に気づき窓をみた
きれいな入道雲が青空に広がっている
「まだ秋はきそうにないなぁ…」
と勘十郎さんが呟いた