ウラコイ2 銀幕の旦那様
「槌谷くん、お疲れさま」
わたしと怜一さんが付き合いだして何年かたった時
「お疲れさま…」
槌谷君はちょっとつかれた顔をしていた
「どうかしたの、」
「いや…ちょっと。お、怜一」
一年前くらいから槌谷君は
怜一さんを呼び捨てで呼ぶようになった
「…寝れてないんだろ。馬鹿潤が…どうせあの女だろ、」
怜一さんは 相変わらずの無愛想で槌谷君に言った
「はは…。毎日ケンカだよ、堪らないな」
「毎日しててよく飽きねぇな」
半ば呆れたみたいに
怜一さんはため息をついた
「…そうだな。別れたらいいけど別れられないんだ、」
槌谷君と美麗さんは
その頃微妙な関係だった
ケンカしてると怜一さんからよく聞いていた
「なんで別れないのかな、槌谷君」
「好きだからだろ…」
ポツリと怜一さんはつぶやいた
好きだから。
「…槌谷の彼女にも女優なりにプライドはあるんだろ、どうにかもがいてチャンスを掴みたいんだと思うけど、槌谷は諦めろって言ってるし。どっちかが折れる以外決着はつかねえだろうな」
タバコに火をつけながらふぅと煙を吹いた