ウラコイ2 銀幕の旦那様
神田さんと仕事が終わった後
潤さんは私に
「口悪くてごめん、何か言われなかった?」
「大丈夫よ。確かに言葉使いはちょっと…乱暴だったけど…」
そうかと槌谷君は笑った
美麗さんはふと目を閉じた
「何故…お父さ……潤さんだったの?」
「…」
「だって他にもっといたでしょ?カメラマン以外に俳優とか…、芸能人とか…」
美麗さんは静かに首をふった
「いたけどいなかったも同然よ。あの人みたいな人はいなかった…皆優しかったけど上辺だけだったわ。そういうの…分かるのよ、なぜか昔からね」
寂しそうに言う彼女は置いてかれた
子供みたいに途方に暮れてるみたいだった
「“昔からね”…てどういう意味ですか…」
「…、」
ざざんと海鳴りがする
「……その事を話すにはちょっと話しが逸れるけど…いいかしら」
「…え、はい。構わないです…」
「わたしの小さい頃の話しになるの…」