ウラコイ2 銀幕の旦那様
「弥生さんから聞いたって言ってたよね…その美麗さんの事、なんて言ってたの」
「……“不器用な人”だって。完璧過ぎて不器用、親父もそう言ってたって、母さんが。俺はよくわからないけど…」
ぐいっとお茶を飲んで翔太君は言った
「…そっか」
プルル
急に電話の音がした
翔太君は はいと携帯に出た
「あぁ…いるよ、みちるさん。はい」
「え…」
私は電話を受け取った
「もし…」
『ちぃ姉!あたし、めぐみ。いま伊豆?…』
めぐみさんの明るい声がした
「うん」
『話聞いた…の?』
不安そうにめぐみさんは聞いてきた
「うん…。聞いたよ、大丈夫。翔太…神田さんがいるし…」
『…ちぃ姉』
「ありがとう、私は大丈夫だから。電話わざわざありがとね」
『ちぃ姉。…ママ…、美麗さん…を嫌わないでね、自慢出来る親じゃないかもだけど…、すごい優しいの。澄ましてるように本当は見えてすごくすごく優しい…、の』
訴えるめぐみさんの声は
ちょっと切羽詰まっていた
「…うん、」
めぐみさんは ちゃんと帰って来てねと言い電話を切った