ウラコイ2 銀幕の旦那様
〈翔太目線〉



おれはみちるさんにちょっと気を使って部屋を出た




ホテルのフロントは人は少ない



「もしもし…、んだよ。市村…あぁ…」



『悪かったな。休暇中に…』




別にいいよと言った。


『いま伊豆なんだろ、すごい雨じゃないのか?何でも台風がきてるらしい…』


「台風か…。」



『あぁ…そういえば彼女も一緒だったか?どうだ…首尾は…?』



「…なんとも言えないよ。…彼女もまだ悩んでる」


市村には軽く伝えてある
伊豆にいるみちるさんの母に会いに行くと…




『そうか…。簡単にはいかねぇから。家族ってやつは…割り切れないモンもあるんだろうな、』



「…でも“家族”だろ?」





風の音がする。

電話越しに市村はふっと笑った



『…そうだな。家族だな』














全部受け入れなくていい…




いいのだ。








彼女の旦那…一条健もそう言っていた











『美麗と会ったのは若い頃でした…』



彼はそう言い話し出した







『まだ駆け出しの脚本家で、半端な自信だけしか持っていなかった…そんな時…』
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