ウラコイ2 銀幕の旦那様
名残惜しかったけど私は控え室から出た
待ってる人がいると思ったから
「あら、みちるちゃん。」
「美帆のお母さん。お久しぶりです」
黒の着物を着た美帆のお母さんが笑いながら歩いてきた
「久しぶり、ありがとうね。来てくれて…」
「いえ…挨拶してきたんですけどちょっと美帆を泣かせかけちゃって…すみません」
美帆のお母さんは首を振った
「いいのよぉ。…みちるちゃんには散々お世話になってるんやし」
「そんな…わたしが頼りっぱなしです」
「……みちるちゃんありがとね。あの子の近くにおってくれて…」
美帆のお母さんは微笑みながら 控え室のドアをちらっとみた
「…美帆は昔から気が強くてね、わたしが言うのもなんやけど美人で友達も少なかったんよ。…でも専門学校に行くようになったら、みちるちゃんの話ばかりし出してね、あの時はほっとしたのよ。みちるちゃんといるとあの子の棘みたいなものが削ぎ落とされて柔らかくなっていってる気がしてね…」
「…長々とごめんなさい…ほんにありがとうね。みちるちゃん。これからもよろしゅうね」
美帆のお母さんはぺこりと頭を下げた
「はい。こちらこそ」