ウラコイ2 銀幕の旦那様
「…おいおい槌谷。」
「千広先輩、…」
缶コーヒーを
はいと渡してくれた
「…『くじら』あと少ししたらクランクインらしいよ。俺も呼ばれたよ、」
「千広先輩も…ですか」
「映画は久しぶりだからなぁ。槌谷は初めてだっけ」
千広先輩は笑いながら聞いた
「前に一本手伝ったことがあります…。やっぱ難しいですかね…」
沈んでばかりはいられない
仕事なのだから…
「まぁ相性はあるからな、槌谷は海江田監督知ってるだろ?」
「はい…、あの人の映画面白いですし。」
「なら平気だよ、にしても『くじら』を映画化とは。…下手したら今年の映画賞総なめかもな」
総なめ?
「総なめですか、そんなにいい映画なんですか?」
主役が翔太君
監督は海江田監督
確かにいい作品は
出来るだろうけど…
「『くじら』の小説がいいからなぁ…。読んでみたらいいんじゃないか?」
「……読んでみます」
そんなに
いい小説なのかぁ…