ロバの少女~咎人の島


監視はどうやって
監視になるのか
陰に生きて
日に紛れて
人に混ざり

見張る

何のために?


ここから出れないかもしれない
人を殺したことが
母に望まれ
父に一目会いたくて母を殺した

赦される日はこないのだろうか

世も島も、監視たちが見張る国

でも
監視たちは必要以上に関わらず

一体何人いるんだろう
歩きつかれて座った切り株で、ミキは転寝をしていた



「お母さん!お母さんどこ!?」

幼いころの自分が泣いている
そんなに大声を出したら、監視に見つかってしまう

「こんな時間に迷子か?」

陰から急に人が現れて、幼いミキは肩をすくめ体を強張らせた

「!」
母が名を呼んだ

私の名、わたしの・・・

「メェ」
「っ!」
びっくりしすぎて、声にならなかった

いつの間に集まったのか
山羊たちがミキを囲んでいた


「ありがとう」
ミキは立ち上がると、山羊たちに頭を下げた

外から見えないように隠してくれたような気がした

トッコに匂いが移って、それに寄って来ただけかもしれない

父は死んだ
監視はどうやって生まれるのか

世と島の平穏
見張られているのに
なんて安全で平和なんだろう
色が無くても
着色されていても

人々は落ち着いて
平凡を暮らしている

島の咎人たちだって
こうして、ふつうに・・・
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