ロバの少女~咎人の島
レンはミキが気になった
ここに来て日も浅いのに
レンはこの島に順応している

レンは与えられたことは受け入れてきた
ずっと

ミキはなじんでいるように見えて
何かが異質だった

仮面を付けて暮らす彼らにも
それはそれなりに表情がある

何の罪を犯したのかはわからないが
ここにいる人たちは
生まれ変わるための時間を過ごす

世に戻るための時間を暮らす

だから
咎人の島という名には似合わず

この島の人は明るかった

レンがこの島で与えられた仕事は
鯨とり

といっても
鯨を捕る訳じゃない
鯨は
島から出る手段

船だ
その鯨を渡す役割


世と島を渡れる唯一の仕事

衣食様々なものを運ぶ

島には通貨がない
物々交換
島で足りないものは

鯨が調達する

無論
咎人を運ぶのも鯨とりの仕事

レンは先代のミキを乗せ
世に向かう

彼女は世にもどると
新しい仕事と名をもらう

いつか
レンも戻る日が来る

いまはまだ戻りたくない

レンの頭にミキの姿が映る
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