ロバの少女~咎人の島
決意
「今夜、発て」
きっぱりと、トッコは言った
鈴を受け取り、レンはミキの元に走った
記録場には、ロバの面が居た
「ミキ!」
ミキはしばらくレンを見つめた
「ヨーク?」
「レンだよ」
「ヨークは…」
「…ヨークもぼくだよ」
レンはミキの手を取って記録場から連れ出した
「仕事が」
「もういいんだ。ミキ、君は今夜、世に帰る。」
ミキは言葉を詰まらせたようだった
面の向こうで目が、大きく見開いている
「せっかく、また会えたのにって?」
ミキの言葉を、レンが奪う
「いいんだ。ぼくも鯨で送っていける。それに、向こうでフギさんに会った!ほら、これ」
チリン
小さく鳴った鈴は、レンの嘘を後押しした
「会った…?」
「そう、これをミキにって。世に戻れば、フギさんに会える!」
ミキは複雑な表情だった
でもその中には今までにない、嬉しさがあった
「わたし…ゆるされるの?」
ミキの質問は幼く聞こえた
レンの心はちくちくしたが、レンはめいっぱい笑って見せた
「世で自由に暮らせるんだ。仮面だってつけなくていい。日の光だって浴びていいんだよ。」
ミキの出生の壮絶な話は、トッコから聞いた
ミキがその後、どう暮らしてきたかはフギからの報告を見せてもらえた
トッコは話し終えると、それきり口を閉ざした
トッコは二度も愛する者を手放さねばならない
でもそれは、ミキに比べれば…
「はい、これ。渡したよ。」
「うん…」
「今夜、鯨の桟橋で」
「うん…」
レンはミキと別れると鯨を見た
鯨は人が二人乗れるくらいの小さな渡し舟で、島には一つしかない
その鯨は
今日戻らない旅にでる
世についたら…
「今夜、発て」
きっぱりと、トッコは言った
鈴を受け取り、レンはミキの元に走った
記録場には、ロバの面が居た
「ミキ!」
ミキはしばらくレンを見つめた
「ヨーク?」
「レンだよ」
「ヨークは…」
「…ヨークもぼくだよ」
レンはミキの手を取って記録場から連れ出した
「仕事が」
「もういいんだ。ミキ、君は今夜、世に帰る。」
ミキは言葉を詰まらせたようだった
面の向こうで目が、大きく見開いている
「せっかく、また会えたのにって?」
ミキの言葉を、レンが奪う
「いいんだ。ぼくも鯨で送っていける。それに、向こうでフギさんに会った!ほら、これ」
チリン
小さく鳴った鈴は、レンの嘘を後押しした
「会った…?」
「そう、これをミキにって。世に戻れば、フギさんに会える!」
ミキは複雑な表情だった
でもその中には今までにない、嬉しさがあった
「わたし…ゆるされるの?」
ミキの質問は幼く聞こえた
レンの心はちくちくしたが、レンはめいっぱい笑って見せた
「世で自由に暮らせるんだ。仮面だってつけなくていい。日の光だって浴びていいんだよ。」
ミキの出生の壮絶な話は、トッコから聞いた
ミキがその後、どう暮らしてきたかはフギからの報告を見せてもらえた
トッコは話し終えると、それきり口を閉ざした
トッコは二度も愛する者を手放さねばならない
でもそれは、ミキに比べれば…
「はい、これ。渡したよ。」
「うん…」
「今夜、鯨の桟橋で」
「うん…」
レンはミキと別れると鯨を見た
鯨は人が二人乗れるくらいの小さな渡し舟で、島には一つしかない
その鯨は
今日戻らない旅にでる
世についたら…