ロバの少女~咎人の島
夜
ミキは久しぶりに長く眠った
夢の中で父に会った
朝
いつものような朝
けれどその日の朝は
ミキの瞳は濡れていなかった
いつものように
顔を洗って
仮面をつける
今日は記録の日だ
仕事が終わったら
考えよう
父の名がわかり
気分が浮いたのだろうか
日の光までもいつもより明るくキラキラしているように見えた
記録帳を開き
いつものように前日の記録を見ていたミキの目が固まった
『レン、明朝離島』
気がついたら走り出していた
鯨の出る桟橋
世と島を結ぶ鯨の桟橋
「ミキ?!」
「昨日の記録にっ」
「ミキ、山羊飼いのトッコさんという人に聞くんだ」
「え…」
「ぼくはもう行かなくちゃいけないから」
「これ」
ミキは帯留めに結ってあったきれいな紐を渡した
「ありがとう。でも、なにも持っていけないって」
ミキは一度周囲を見渡して
桟橋横にある大きな柱にレンを寄せた
そして頭を抱くようにして
レンの髪の毛の中に
裂いた紐を結びつけた
「これなら無くさない。とられない。」
レンはビックリしすぎて声が出なかった
「世にもどったら探しに行く。」
「ミキ…」
監視たちがあっという間に二人を引き離した
二人は逆らうこともなく
離れた
監視たちはまた
あっという間に島の中に散った
それを目で追いながらレンはまたミキに目を移した
ミキはもうそこにはいなかった
レンは鯨に乗り
世に戻っていった
島からはなにも持っていけない
レンは一度だけ自分の髪をなでた
ミキは久しぶりに長く眠った
夢の中で父に会った
朝
いつものような朝
けれどその日の朝は
ミキの瞳は濡れていなかった
いつものように
顔を洗って
仮面をつける
今日は記録の日だ
仕事が終わったら
考えよう
父の名がわかり
気分が浮いたのだろうか
日の光までもいつもより明るくキラキラしているように見えた
記録帳を開き
いつものように前日の記録を見ていたミキの目が固まった
『レン、明朝離島』
気がついたら走り出していた
鯨の出る桟橋
世と島を結ぶ鯨の桟橋
「ミキ?!」
「昨日の記録にっ」
「ミキ、山羊飼いのトッコさんという人に聞くんだ」
「え…」
「ぼくはもう行かなくちゃいけないから」
「これ」
ミキは帯留めに結ってあったきれいな紐を渡した
「ありがとう。でも、なにも持っていけないって」
ミキは一度周囲を見渡して
桟橋横にある大きな柱にレンを寄せた
そして頭を抱くようにして
レンの髪の毛の中に
裂いた紐を結びつけた
「これなら無くさない。とられない。」
レンはビックリしすぎて声が出なかった
「世にもどったら探しに行く。」
「ミキ…」
監視たちがあっという間に二人を引き離した
二人は逆らうこともなく
離れた
監視たちはまた
あっという間に島の中に散った
それを目で追いながらレンはまたミキに目を移した
ミキはもうそこにはいなかった
レンは鯨に乗り
世に戻っていった
島からはなにも持っていけない
レンは一度だけ自分の髪をなでた