愛してるさえ、下手だった
満希:現れたのは、
「別れようぜ」
彼にそう言われたのは、冷たい雨の降る日だった。
「うん、いーよ」
いつもと同じデート。
2人で映画を見て、ご飯を食べて、時々彼の家に遊びに行ったりして。
大人の真似ごとをするような、ままごとにも似たデート。
だけど今日のデートはいつもとは少し空気が違った。
だからこう言われることも、頭の片隅でわかってた。
「お前さぁ…」
彼が頭を掻きむしりながら、うんざりした顔で私を見る。
別れたかったんでしょう?
あなたから言い出したのに、どうしてそんな顔をしているの?
「いっつもへらへらしやがって…。ほんと、むかつく」
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