愛してるさえ、下手だった
「嫌って、何が嫌なんだよ」
「嫌だ、嫌だ…」
泣きそうな顔で、潤んだ瞳で、同じ言葉を繰り返す。
一体俺に、どうしろって?
「じゃあどうすればいいんだよ」
「…て」
「あ?」
彼女の口元まで耳を寄せて聞き返すと、
「一緒に…寝て…」
思いがけない言葉に、すぐに意見することができない。
まったく状況が呑み込めなかった。
「あたし、ひとりじゃ寝れないよぉ…っ」
そんな、子供じゃあるまいし。
すぐにその手を払いのけて部屋に入ろうとしたけれど、彼女の顔があまりにも真剣だからそうすることができない。
「…ったく」
こうなるとわかっていたら、一部屋余分に金を払わなくて済んだのに。