愛してるさえ、下手だった
満希:願ったのは、
旭がミネラルウォーターのペットボトルを乱暴に放り投げる。
空っぽのペットボトルは寂しい音を立てて床に転がった。
君も、あたしとおんなじだね。
ペットボトルに心の中で呼びかけて、それからやけに虚しくなった。
あたしはいつも、誰かにとっての付属品でしかなかった。
誰の一番にもなれなかった、出来損ない。
――「付き合おう」
そう言われて飛び跳ねたくなるほどうれしかった。
好きだと言ってもらえた。
誰かの一番になれた。
それだけでもう、断る理由なんてなかった。
手放しで賛成した。
付き合うことになった。
愛してた。
あたしを大切だと言ってくれたあなたを。