愛してるさえ、下手だった
旭は深くため息をつき、苛立ったように頭をがしがし掻く。
「そうじゃなくて」
「何?」
彼が再びあたしを見る。
その瞳はどこか哀しそうにも見えて、あたしまで不安になった。
旭の唇がうっすらと開かれる。
まるで音が唇の動きに追い付かないようにゆっくりと、言葉は紡がれていった。
「怖くねぇのか、俺が」
「…旭が?」
怖い、か。
そんな感情すらあたしはなくしてしまったのかもしれない。
殺し屋だとわかっているのに、旭を怖いと思ったことなんてなかった。
それどころか、優しいとすら思う。
殺し屋ってみんなこうなのかな。
それとも、旭が特別優しいの?
ねぇ、わからないよ。