愛してるさえ、下手だった
旭:明日への扉。
「じゃあ、もし殺されるのがあんたじゃなくて…」
そこまで言って俺は口をつぐんだ。
彼女が部屋を出て行ってから、自分の愚かさに頭を抱える。
バカじゃないのか、俺は。
何を言おうとしていた?
これは会ったばかりの奴に言うようなことじゃないのに。
何でもないとはぐらかしたが、彼女は一筋縄では引き下がらないだろう。
「はぁ…」
ため息がこぼれたのを引き金に、脱力したように体に力が入らなくなる。
頭も回らなくなる。
そもそも俺は、どうしてこんなに彼女に心を許そうとしているんだ。
…あぁ、そうか。
似ているからだ
自分と。