愛してるさえ、下手だった
「怖くねぇのか、俺が」
「…旭が?」
再び疑問をぶつけると、彼女は今度こそ考え込むように首をひねった。
考えなくてもすぐに答えは返ってくるものだと思っていた。
――怖い、と短い一言が。
「だって、旭は優しいよ」
その返事に俺は目をむく。
彼女はサイズの合っていないぶかぶかの服を見せつけるように両手を上げると、虫唾が走るような言葉を口走った。
「この服を用意してくれたのも、旭でしょ?」
突き付けられた真実に、違うとは言えなかった。
確かにそれを用意したのは俺だ。
でもそれはいつまでも同じ服のまま彼女にうろつかれるのも迷惑だと思ったから。
それだけのことなんだよ、満希。
――旭。
「あいつ」の残像が、浮かんで揺らめく。