愛してるさえ、下手だった
「かわいそうだね」
傷に覆いかぶさって修復させていくようなあたたかみを宿した声で、彼女は短くつぶやいた。
「かわい、そう?」
それは俺のことなのか?
彼女が小さく頷く。
唇が薄く開かれ、そこから新たな言葉が生まれる。
「旭は、とてもかわいそう」
「だ、まれ…っ」
添えられた手を力いっぱい振り払うと、彼女は妖艶にくすりと微笑んだ。
それは子供っぽい笑顔とも、さっきの哀しそうな笑顔とも違う。
一体こいつはいくつの顔を持っているんだ。
「本当は殺し屋なんて職業に自分が就いていることが、苦しくてたまらない。
だから私のことも殺さない」
「違う!!」