愛してるさえ、下手だった
叫んでから取り返しのつかない後悔を繰り返す。
これだけ大声を張り上げて否定すれば、それが図星であることはおのずと知れてしまう。
それでも叫ばずにはいられなかった。
「俺は、誰が死んでも構わない。誰の人生を終わらせても、俺には関係のないことなんだ」
「…そうやって言い聞かせることで、今まで耐えてきた?」
もうだめだ。
一言発するたびに彼女に言いこめられて、後には醜く弱い塊しか残らない。
「どうして…」
どうしてわかる。
ついさっき会ったばかりだというのに、どうして。
それこそお前には関係ないことのはずだ。
彼女は静かに目を伏せてささやくようにつぶやいた。
まるで自分の傷を指先でなぞるように、ゆっくりと。
「――あなたは、あたしと似ているから」
それは自分の傷の深さを知る者にしかわからない確信。
そしてまた、相手の傷の深さも知らなければ、そう自信を持って口にすることは難しかった。
すべて、理解したうえでの発言だった。