愛してるさえ、下手だった
人を殺すことにためらいなんてなかった。
遅かれ早かれいずれは死ぬのだから、どうってことないと思っていた。
満希は自分を殺してもいいと言っている。
そう言ってくる奴ほど殺しやすい奴はいないのに。
大きく波立つ気持ちが、俺の手に歯止めをかけた。
どうせあと一カ月なんだ。
満希といられるのも、一カ月だけなんだ。
そうやって割り切ろうとするのに、余計につらくなる。
殺す相手に情を抱いてはいけない。
それが俺たちが依頼をこなす上での最低条件だった。
相手に何かしらの気持ちを持ってしまえば、息の根を止めることが難しくなってしまうから。
人としてではなくモノとして、相手を見ていたつもりだった。
今までは。
じゃあ、これからは――?