愛してるさえ、下手だった
満希:待っていたのは、
息苦しさに目を開けると、悩ましげな顔をした旭があたしを見下ろしていた。
殺されるのか。
「いいよ、殺しても」
死ぬ瞬間に、独りぼっちじゃないから。
旭がいてくれるから、あたしはそれでいいよ。
なんて、彼氏と別れたばっかりなのにそう考えるあたしっておかしい?
だって彼はあたしを見てくれるから。
誰かのおまけじゃない「あたし」を見てくれるから。
殺し屋のはずなのに、旭の側はとても居心地がいいんだ。
「それで旭が楽になるなら、いいんだよ…」
あたしを孤独から救ってくれた旭を救えるなら。
彼がかみしめた唇から、赤い血がこぼれる。
「あ…、あ゛あぁ……!!」
胸の奥底まで響き渡って地面を揺らすような、哀しい叫びだった。
この叫びは誰にも聞こえていない。
誰も聞いていない。
だからもっと叫んでいいよ。
あたしが、側にいるから。