愛してるさえ、下手だった
やっぱり、旭は優しいよ。
殺し屋でいるには、あなたは優しすぎる。
心の内をそのまま伝えれば、彼は真っ向からそれを否定した。
「俺は、お前を殺そうとした」
「うん、知ってる」
「お前の首を絞めようとした」
「うん、でもまだ絞めてない」
「俺は…」
低く押し殺すような嗚咽が、旭の口からこぼれる。
その音は聞いているこっちまで苦しくなるような音だったけれど、嫌じゃなかった。
あたしはそっと目をつぶる。
閉ざされた真っ暗な世界の中に、旭の泣き声だけがこだました。
こんなに私を想ってくれた人は、初めてだった。
それはあたしと彼があまりにも似ていたからかもしれない。
あたしたちがここまで似ていなければ、きっとあたしはとっくの昔に絶命していた。
見えない絆が、あたしたちをがんじがらめに縛りつけた。
「旭。あたしのことはいつでも殺していいよ。ただ…」
独りぼっちにはしないでね。
あたしが望んだのは、ただそれだけだった。