愛してるさえ、下手だった
あたしはベッドに背中から倒れこむ。
体がバウンドする。
体と一緒に臓器もバウンドしているみたいだ。
周りには誰もいない。
独り、だ。
「やだ…」
その事実から目を背けるように、あたしは体を小さく丸める。
目を強く閉じる。
一筋の光も入らないぐらい、強く。
「やだよぉ…っ」
早く帰って来て。
ついさっき出ていったばかりの彼がそんなに早く戻ってくるとは思えなかったけど、それでも独りは嫌だった。
ひとりでいると、怖いことばかり考える。
もうこの世界には誰も残っていなくて、残されたのはあたしだけなんじゃないだろうか。
本当にここは、昨日まであたしが住んでいた世界なんだろうか。
あたしは本当に生きているんだろうか。
誰かが側にいてくれないと自分を認められないぐらい、あたしの存在は脆かった。