愛してるさえ、下手だった


独りが怖くなったのは、いつからだろう。


――お留守番よろしくね。

華やかな笑顔を振りまいて出かけていく両親。
その背中を見送ることが何より嫌いだった。

本当は留守番なんてしたくなかった。
あたしだって一緒に行きたかった。


――別れようぜ。

――うん、いーよ。


本当は全然よくなかった。
不安と恐怖でいっぱいだった。

あんなに側にいたのに、あんなに彼の傷を庇ったのに、あんなに愛してると言ってくれたのに。

あたしは捨てられた。
受け入れてはもらえなかった。

本音なんて言えるわけがなかった。
両親のことも彼のことも困らせたくなかった。
嫌われたくなかった。


独りは嫌い。
独りになると仮面が剥がれる。
人前で保っていた笑顔が、保てなくなる。



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