愛してるさえ、下手だった
ああ、そういえば昨日は徹夜したんだった。
重たくなる瞼をこじ開けるのはもう無理そうだ。
寝てしまえば独りでいることも苦ではない。
もう寝てしまおうか。
そう思いながら、あたしはゆっくりと押し寄せてきた波に身を任せる。
いつもこうやって周りの流れに合わせているだけだった。
流れに逆らっても、自分にとって得なことはないと思っていたから。
流され続けた最終地点がここだとしたら、なんて素敵な終着点なんだろう。
でも、ここは終点じゃない。
きっとこれからもっと苦しいことがあって哀しいことがある。
旭の側にいることは決して楽なことじゃない。
だけど今まで楽な方にばかり傾いていたあたしが、こうして自分から茨の道を進もうとしている。
それは小さくて大きな進歩。
そこであたしの意識は、ぶつんと途絶えた。
頬を流れる熱い雫なんて、気にならなかった。