愛してるさえ、下手だった
旭:希望の扉


刹那に呼び出された俺は、あの暗い路地裏にいた。

「何だよ、いきなり呼び出して」

相変わらず何を考えているのかわからない冷たい目で俺を一瞥した彼は、不意ににやりと口元を歪めた。

「今回はずいぶんと手間取っているんだな」

ぎくりと心臓が怯える。
それを隠すように、俺は鼻でせせら笑った。

「一カ月の猶予期間があるなら、ゆっくりやってもいいだろ?
俺だって少しは休みたいんでね」


今の脈拍を測ったらどのぐらいだろうか。
心拍数を測ったらどうなっているだろうか。
思わずそう考えてしまうぐらい、鼓動が高まっていた。


「休ませてやれなくてすまない。落ちこぼれがあまりにも役に立たなくてな」

「…夜十か?」

落ちこぼれといえば彼しかいない。
夜十は俺よりも後にきた殺し屋だが、それにしても容量が悪い。

あいつは人間味がありすぎる。
もっと人形のように、モノのように壊してしまえばいいだけなのに。

それができないのが彼だった。


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