愛してるさえ、下手だった
じゃあこいつが、満希の彼氏だった奴なのか。
初めて会った時に、貼りつけたような笑顔で彼氏と別れたことを話していた満希の顔を思い出す。
「…どうした、777」
「え、」
顔を上げると、刹那は射るような視線で俺を見つめていた。
心の隅から隅までじっくりと眺めまわすような目に、鳥肌が立つ。
「まさかお前まで落ちこぼれのようになったりしないだろうな」
「…まさか」
これ以上話していたらばれる。
そう判断した俺は、身を翻して早々にその場を去ることにする。
「とにかく、こいつを殺してくればいいんだろ?
じゃあな」
深層心理まで見透かしそうなねばっこい眼差しは、しばらくの間離れることはなかった。