愛してるさえ、下手だった


だからあたしたちはこうして求めあった。
互いの傷を埋めるように、庇いあうように。

だけどあたしは、傷を埋める以上に旭を求めた。
好きだと、愛していると思った。
きっとこの気持ちに偽りはない。

そうでなければ、自ら危険な目に遭おうとは思わない。


「俺は卑怯で、薄情だ。だけど自分を守るために人を殺すことは、もっとひどいと思う。
やっと気付いた。気付けたんだ」

こんなに暗い闇の中でも、彼は輝いていた。
旭の眩しい髪が、きらりと光る。

「愛してると言えるような人に、出逢ったんだ」

旭があたしを抱きしめる力を一層強める。
弾が当たった肩が痛かったけれど、その痛みも幸せだった。


「お前も、所詮落ちこぼれか」

刹那が落胆したようなため息をつく。

「違う」

気付けばあたしの口からは言葉が飛び出していた。

「それは違うよ」



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