幼なじみと2週間
朝からイケメンとしゃべれるとかついてる!
…なーんてね。
「間宮鈴!えっと、そっちは?」
「篠崎一生(シノサキカズキ)。好きなように呼んでくれていいから!」
「あ、うんっ!ありがと。あたしもなんでもいいよ!」
「じゃー、鈴で。また会ったら声掛けて?今日ケータイ忘れてメアド交換できねーからさ。」
「うん!じゃあまたっ!」
プシューという音とともにドアが開いて、一生くんは先に降りていってしまった。
…いい人だったな。
チャラチャラした見た目とは裏腹に、笑った顔は爽やかで口調もそこまでキツくない。
それからあっと言う間にあたしの降りるバス停に着いた。
バスから降りると丁度ケータイがなり、鞄をガサゴソと探る。
ようやくケータイを発見し、通話ボタンを押した。
「もしもしっ!」
「おせーんだよ出るのが!」
耳をつんざくような声が聞こえて、あたしはいったんケータイから離した。
恭吾ったら何考えてんの?うるさすぎだし…!
「恭吾…朝からうるさいっ!近所迷惑だよ!」
「お前も十分うるせーよ!てか、俺と同居してること話すなよ?」
「な、なんで?」
「お前も俺も言われるだろ?だからめんどくさいことにならないうちにやめとけ。じゃーな。」
その言葉を聞いた後のあたしの耳には、ツーツーと言う機械音が虚しく響いた。
「恭吾、心配してくれてるの?」
あたしの心のどこかが淡く色づいた気がした。