幼なじみと2週間
気づいてくれたことに驚きながらも、自然と顔が綻んだ。
「あたしは今カラオケの近くだけど…。」
携帯を持ちながらあたしはその場で立ち止まった。
「…ったく、心配させんな。帰るなら俺に言えよ!」
「や…だって、恭吾たち囲まれてたから…話しかけずらかったし。」
思い出すとなんかモヤモヤする…。
「妬いてんの?…あ、いっとくけどお前今そこから動いたら知らねえよ?」
そういって恭吾はフッと笑った。
「なっ///馬鹿!言われなくてもそうするってば。…じゃあね!」
あたしはそれだけ言うとすぐさま電話を切った。
「あー。…顔あつい…」
暗くてシーンとした空気の中あたしは1人呟いて、頬に手を当てた。
その状態のままぼーっとして数分たった頃。
「おい!」
顔を上げると、少し息を切らした恭吾がいた。
「早く帰るぞ。…立てよ?」
そう言ってあたしの前に恭吾の手が出された。
そんなちっぽけな優しさが嬉しくて、自然と頬が緩んだ。
あたしは恭吾の手を借りて立ち上がって、歩き出した。
よく握ってたな、なんて小さい頃を思い出しながら恭吾の手をギュッと握った。
…って、あたし何握ってんの!?
我に返って離そうとしたのに、すでに恭吾に手を捕まえられていて…
「…お前意外と積極的じゃん。」
なんて言いながら恭吾はニヤニヤしながら、繋いだままの手を見せつけてきた。