Fickle Fortune
裕香によって指定された場所は校舎裏。

放課後の校舎裏なんてまさに告白の定番って感じ。



校舎の陰からこっそりと覗き見る。

全体的に野暮ったくて、黒縁眼鏡の小柄な男子生徒が、木に寄りかかって本を読んでいた。

「もういる」

さすが優等生矢野。

告白にも五分前行動とはさすが!

って感心してる場合じゃなかったー!!

どうしよう!

本当に告白するの?

私が矢野拓海に?

無理無理無理無理無理!

でも逃げたらさらにヒドい罰ゲームがぁぁぁ!!

どーすんの?

ねぇどーすんの私ー!?



「……桜井さん?」

「ふぇっ!?」

突然声を掛けられて変な声を出してしまった。

てかこの声って……。

恐る恐る顔を上げると、さっきまで木のところで本を読んでいたはずの矢野拓海が、目の前に立っていた。

嘘っ!ちょっと待って!
まだ心の準備ができてなーーーい!!

なんかもう一杯一杯な私は冷や汗+苦笑いで固まってしまった。

あぁ、不審な目で見られてる……。

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