Fickle Fortune
事の始まりは、遡ること八時間とちょっと。朝いつものように教室に入ったときのこと。

「おっはよー」

元気よく教室に入った直後、親友の皆瀬裕香が笑顔で待ちかまえていた。

「陽菜、玲奈!明日歌を捕獲っ!!」

裕香がそう言うなり、隣に回り込んだ二人に両腕をしっかり掴まれてしまった。

「隊長!目標を捕獲しました!!」

右腕を掴んでいるのは、ノリノリな後藤玲奈。

「ごめんね、明日歌ちゃん」

笑顔で謝りながら、左腕を掴む宮城陽菜。

「ふふふ。昨日の罰ゲーム忘れたとは言わせないわよ!」

裕香が不敵な笑顔を浮かべていた。

「も、もちろん忘れてなんかいませんヨ」

「自分が言い出した事なんだから、責任持って遂行してね、ア・ス・カ」

語尾にハートマークが付くんじゃないかってくらい素敵な笑顔を向けてくる裕香。

でも、今の私には悪魔にしか見えないっ!!



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