Fickle Fortune
「で、誰に告白すれば良いのでしょうか」

「ぐふふ」

思い切って聞いてみたら、目の前の小悪魔様から嫌な笑いが返ってきた。

あのー、裕香さん。お顔が崩れてますヨ。

……と心の中で呟いてみる。

あくまでも心の中。ウッカリ口を滑らせようもんならさらにヒドいことになりそうだし。

「矢野に告れ!」

「はい!……って、えっ!?」

反射的に「はい」なんて答えちゃったけど、思わぬ人物に焦る。

「いいい今なんて言った!?ヤノって聞こえたんだけど」

「言ったよ」

裕香が頷く。

嘘であることを願って玲奈を見る。

「うちのクラスの矢・野」

玲奈はニヤリと笑いながら言った。

藁にもすがる思いで陽菜を見る。

「矢野拓海くん」

陽菜はにっこりとご丁寧にフルネームで言ってくれた。

「う、嘘!ヤダヤダ!あのガリ勉矢野でしょ!?」

「だから良いんじゃん。矢野って勉強にしか興味ないから、間違ってもOKすることはない。裕香ちゃんてば優しー」

もっともらしい理由ではあるけど、納得なんてできるかー!!

「辞退――」

「させるわけないでしょ。もう呼び出しの手紙も出しちゃった」

「てへっ」っと可愛らしくウィンクする裕香さん。

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