Fickle Fortune
「言い出しっぺが逃げたりしないよね?」

「諦めてね、明日歌ちゃん」

左右からトドメの一言が飛んでくる。

「さーて、そろそろ本人が来ちゃうから席に戻ろっと」

やけにスッキリした表情で自分の席に向かう裕香。それと同時に両手を掴んでいた手が離れて、玲奈と陽菜も何事もなかったかのように席へと帰って行く。

1人取り残された私は呆然とその場に立ち尽くしていた。


私があの矢野に告白!?

罰ゲームとはいえありえないって!

てか私より罰ゲームにされた矢野が可哀想だよ。

うん、そうだよ。

よし、裕香に直談判しなきゃ!!


そう決意して裕香の後ろの自分の席に向かう。

裕香はもう自分の役目は終わったと言わんばかりに私のことを気にしてもいない。

超高速でメール打ってるし。

「ねぇ、裕香」

「ん?」

後ろから話しかけてみた。相変わらず携帯に集中してるけど、とりあえず話は聞いてくれるみたい。

「やっぱり別の罰ゲームに――」

「だーかーら、もう手遅れだって」

また遮られた……。

裕香はパチンと携帯を閉じて、振り返って私と向き合った。

「だって、罰ゲームで告白されちゃうなんて矢野が可哀想だと思わない?」

無駄な気もするけど、さっき思い付いたことを話してみる。

「可愛い女の子に告白されて可哀想な男なんている?むしろ役得でしょ。それに迷惑なら断るわよ。それとも明日歌はOKされる自信があるの?」

「いや、それはない。地球が逆回転するくらいありえない」

間髪入れずに否定する。

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