恋の教習所
授業はいつものようにちゃんと受けた・・・・・つもり。


あくまでもつもり。


手は動かしつつも、私の目線は谷川教官からふと少し前に座っている女の子へと向いていた。


“瀬島 ゆめ”に。


気になるだけなのかもしれないけど。

別に私が1人気にしているだけかもしれないけど。


今後この子がどうするとかなんてわからない。


もし―――――――――


本当に谷川教官のことが好きだったとしても、その思いを伝えるかどうかはわからない。


きっと何人も自分の思いを伝える事が出来ずに卒業していったんだろうな。


私も――――――――



もしかしたらその中の1人になっていたかもしれない。




「どうしたの?もうこの肉焼けてるよ。」

「あっ!ハイっ!!」


私は谷川教官の一言で現実に戻された。


目の前でジュウジュウと音を立てて焼けていくお肉や野菜。


そして・・・・・。


「良い匂い~!」

焼けて香ばしい良い匂いのするカルビを自分のお皿に入れた。

タレと混ざってさらに良い匂いになる。


「いただきま~す。」

「どうぞ?」

私はカルビを口に入れた。

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