恋の教習所
「おいしいっ!!」


口の中にタレとお肉の味が広がって。

噛みしめるとジュワっと広がってくる。



こうやって味を確かめると・・・現実に戻った感じがより一層大きくなる。


私は今日の学科の事を考えていたんだ。

谷川教官の事が好き、なのかもしれない女の子の事。



よりによって、谷川教官との初めてのご飯の時なのに!!



教習所の食堂で一緒に食べた事はある。

でもそれはお昼ご飯。

他に職員もたくさんいる。



今日は二人っきりなんだ。


仕事が終わって二人きり。



朝から楽しみだった。

夕方になるにつれてドキドキが増していたんだ。



「どんどん食べなよ!オレも追加で注文するから。」

谷川教官はお肉をひっくり返しながらメニューに手を伸ばす。

「はい。ありがとうございます。」

私もお肉をひっくり返すのを手伝う。


「一ノ瀬さんまだ食べれるよな?」

メニューを見ながら聞かれるから

「はい、まだ食べれます。」

私はこっそり谷川教官の方を見ながら答えた。



仕事が終わった後の谷川教官なんて見た事ないから。


やっぱり緊張もするし、意識もしてしまう。


目を合わせるのも照れてしまうから。



こっそりとね?
< 106 / 111 >

この作品をシェア

pagetop