恋の教習所
自分の席を教えてもらった。

事務の女の子は事務の方へ


そして私は・・・・・


 
「ほんとに来るとは思わなかったよ!今日からまたよろしくな!なんだかあんまり変わってないね。」


背後から肩を叩かれたと同時に声がかかった。


振り返って見ると


「谷川教官!!はい、今日からよろしくお願いします。色々教えて下さい。」

私の肩を叩いたのは、谷川教官。
谷川史宏(たにがわ ふみひろ)、この教習所の教官。
私が通ってた頃からの教官で、背も高くて、おもしろくってあの頃から女の子たちにもててた人。
もちろん私もその中の一人で。
何度も何度も友紀に話してた。


「交通関係の仕事したかったんでしょ?警察とかは受けてみたの?」

そう来たか。

 
私の子どもの頃からの夢。

 
交通関係の仕事につくこと。


でも、具体的になんて警察官しか思いつかないし。


大学にも行ったよ。

 
法律の勉強しに。


 

でもね、でも―――――――――――――――



私は18歳の時。

 
この場所で、警察官以外の道を見つけた。


 
それは。



捕まえる側じゃなくて、捕まらないようにその人を育てること。


危ないから捕まえるんじゃなくて、危なくない運転をするように。


そんな人を育てる仕事。




大学の時も考えてた。

 
どんな勉強していたらいい?


どうやったらなれるの?


 
調べて調べて、たどり着いた。

 
今立っているこの場所に。









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