恋の教習所
私はフォークを、友紀はスプーンを手にする。

「ねぇ・・・。」

「ん?」

「梅昆布茶にチーズケーキって変。」

何を言われるかと思ったら。
それも変って。

「それを言うならチョコレートパフェにコーヒーって何?甘い苦いのコラボ?」

私も負けじと言い返す。

「梅昆布茶よりマシだって。」

「コラボよりいいって。」


私たちはいつもこんな感じだ。

好きな人と好きな物を食べるのが幸せだと思う。


「それでさぁ、私まだ聞いてないんだけど。」

忘れてしまっているかもしれないが、まだ聞いていない。

「その提案者の名前。」

私の言葉に

「そうだ!吉川陸(よしかわ りく)って言う人!高校卒業して県外に就職してたらしいけど戻ってきたんだって。」

友紀は思い出したと名前を教えてくれた。

高卒だったんだ。
前はなんの仕事をしていたんだろう?
なんだかちょっと気になった。

「そうなんだ。それって自己紹介みたいなので言ってたの?」

最初にみんなの前でする挨拶でしたのかと思った。

「違うよ。電話で言ってた。」

そうだ、二人は電話で話をしているんだ。

「他には何か言ってた?」

興味本位で聞いてみる。


「他ー?だから看護師はいつなら時間合わせられそうか、とか。ギターが好きで軽音楽部に入ってたとか。そこは奥田君と同じだよね。」

奥田君もギターをしていて軽音楽部に入っていた。
よく友紀はライブを見に来て欲しいって誘われて行ってたなぁ。

「奥田君もギターするもんね。」

「そうそう。そう言うみちゃきも谷川教官はベースするって言ってたじゃん。」

そうだ、谷川教官。
冗談で友紀と、もし私が谷川教官と付き合えたらベースとギター出来るねって話をしていた。

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