恋の教習所
「それで結局どうするの?」

このままだと谷川教官に話題を持って行かれそうだったから話を元に戻す。

「看護師は・・・というか私の病棟は5月から残業、6月から本格的に夜勤も入ってくるって言われたけど、他の部署は分からない。」

「それはそうだよねぇ。その話吉川君にしたの?」

「したよ。」

友紀はちゃんと伝えれる事は伝えていたんだ。

「そうしたら10人自分が連絡するからって言ってた。」

さすが言い出しっぺ。
自分も手伝う気でいたんだ。
その辺・・・ちょっと優しいんじゃないのかな。

「いい人じゃん。」

私は感じたままの感想を言ってみる。

「それはそうだけど・・・。」

言葉が詰まってしまった。

やっぱり友紀は他に気になる事があるんだ。
いつも私の話を聞いてくれる友紀。
今度は私の番。

「どうしたの?」

いつもの私なら、今すぐ言えない事なら待つけれど。
今日のメールからするとすぐにでも話がしたそうな感じがしたから聞いてみることにした。


「うん。会社の集まりだから大切な事だと思うんだ。特に入ったばかりだし。でも、男の人もいるし奥田君に悪いかなって言う気がしてるのもあって。」

そうか、それで悩んでいたんだ。
吉川君が友紀の事が気になる、ならないよりも。
今付き合っている彼氏、奥田君への気持ち。

聞いてみると、事務員は4人中男性が2人、女性が2人の半々。
看護師は男性が5人、女性が15人。
この中には友紀が含まれているから正確には友紀を入れて15人だ。

確かに仕事上の付き合いで、となれば別かもしれないが、自分以外の異性のたくさんいる所へどうぞ、とはあまり良い気分ではないだろう。
ましてやそれがお酒が入ってくるような席なら尚更の事。


私がそうだったら・・・やっぱりヤキモチ焼いてしまう。


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